都知事選だから都市の明るい未来を考えよう

ツイッターのタイムラインは地獄絵図のようになっていましたが、都市の未来はそんなんじゃない!(ハズ)というお話です。候補者の演説に倣ってテーマは3つ、交通とエネルギーと景観です。

 

1.都市の交通

はじめに、都市交通の話をしましょう。

 

東京での現下の課題は、通勤ラッシュや通勤時間など負担の軽減です。東京は世界で最も複雑で大規模な鉄道網を持つ都市の一つで、列車が都市交通の主役になっています。しかし、この巨大な都市では、混雑した列車で通勤・帰宅に長い時間を費やすことが当たり前になっています。

実際の候補者の一人は、通勤ラッシュを解消する方法の一つとして、二階建ての電車を例示しているようです。ただ、二階建ての車両では、階段がデッドスペースになってしまい、その数を抑えると乗降時間が延びてしまいます。

そもそも、台車がある部分は二階建てにできないので、乗車定員は1.5倍ほどにしかなりません。ならば10両編成を15両編成にする方が、いくらか現実的に思えます。

 

このように、ついついお馴染みの電車をいかに改善するかと考えてしまいがちですが、そもそも東京での都市交通の主役は、これからも電車であり続けるのでしょうか?

まもなくリオ五輪が始まるブラジルに、クリチバという都市があります。この都市を象徴する交通の主役はBRTです。BRTはバスによる交通システムですが、専用の車線を走ったり、バスの床と停留所のプラットフォームの高さを合わせたり、停留所でチケットの処理をしたりすることで使い勝手や乗降時間を改善しています。

 

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BY:Mariordo (Mario Roberto Duran Ortiz)

 

バスによる都市交通は開発途上国向けと考えてしまいがちですが、東京でも五輪に合わせて湾岸エリアにBRTが導入される予定です。時代はバスです。

列車とバスの基本的な違いを考えてみると、バスには多くのメリットがあることがわかります。列車は大勢の人を一度に運べますが、乗客は不必要な駅に停車することや本数の少なさを我慢しなければいけません。駅から駅までの所要時間と距離から計算した平均速度は、八王子や大宮のような郊外の主要駅から都心の駅までの急行や快速で60km/h前後、地下鉄で30~40km/hと、意外と遅いのです。

 

一方、バスは出発点と到着点が同じ人々というような、小さな需要に対応することができます。上手く運用すれば、それぞれの利用者にとって不必要な停車を省けるのです。それは所要時間を短縮し、乗り心地やエネルギー効率も改善します。出発地や行き先が絞られていれば、乗客の少ない区間で空気を運ぶような無駄も省けます。

 

さらに、意外なことにバスの輸送力は列車よりも大きく、さらに高度な自動運転技術を使って車間距離を縮めたり、連接バスを使ったりすれば、さらに大きな輸送力を得ることもできます。

 

自動運転の技術は、列車と比べて「多くの運転員が必要になる」というバスの弱点を解消し、低遅延で、高速で、長い時間待たなくても乗れる交通システムを可能にするでしょう。

それは自動運転技術の進歩によって、近い将来、既存の高速道路に導入することもできるようになるでしょう。都市高速道路から乗り換え駅への専用線や停留所を整備するだけで、新しい交通インフラを誕生させることができるのです。

 

さらにBRTが電車にみられる運用上の仕組みを取り入れたように、電気を使いレールの上を走るといった電車のエコロジカルな特徴を取り入れた交通システムができれば、東京は大きな課題を一つ解決することができるのです。

 

付け足し:東京には代用地の確保が難しいこともあって、高架化・地下化ができていない鉄道路線が複数あります。バスはレールの上を走らないので、既存の路線で運行させたまま、開削工法でレベルを下げてくことも可能かも知れません。

 

2.都市のエネルギー

 

近年は猛暑日の日数も増え、真夏の東京は多くの人にとって快適ではありません。2020年の東京五輪もそのような時期に行われる予定です。都市に冷房を付けることはできないのでしょうか?

 

まず簡単な方法をご紹介します。東京の近くには海があります。東京湾のすぐそばには千メートルを超える深い海深があります。海水の温度は深いほど冷たいので、東京のすぐそばには冷たい、10℃以下の海水が無尽蔵にあるのです。

 

その海水をパイプラインで持ってきて、高速道路の高架下に大きなラジエーターを設置すれば…じゃーん!東京水冷システム完成!!

 

これでゲリラ豪雨も軽減されるはず!

 

でも、この方法では問題が多すぎます。まず海水を地上に持ってきてはいけません。それに、冷たい海水を生ぬるくして戻してしまうのが、海洋の温暖化対策的にNGです。排ガスで汚れた空気が冷やされて生活圏に滞留してしまいます。東京の耐えがたい夏は1~2ヶ月なので、コスパが悪そうです。

 

次はもっと未来的な方法をご紹介します。夏と冬を交換する方法です。半年前を思い出してみて下さい。猛烈に暑い東京も、4000時間前は寒かったのです。

 

夏と冬を交換する方法はシンプルで、大量の真水を用意し、次のように使います。

① 夏になったら、冷房や東京を冷やすために使います。

→ 温かくなります。

② 冬になったら、暖房などの熱源として使います。

→ 冷たくなります。

③ ①に戻ります。

 

この方法が優れているのは、外気温を調整するだけではなく、冷暖房や給湯のエネルギー消費を減らせる点です。夏には、まず冷たい水を建物の冷房に使い、やや冷たい水で外気を冷やします。

 

もちろん、真水を貯めておく大きなタンクや断熱された上下水道網のようなインフラは、新たに必要になります。ただ、老朽化した上下水道網等の更新と併せて整備することで、コストを抑えることはできるでしょう。都市の自治体にとって、このような新しいサービスは財政上のチャンスになる可能性もあります。

 

大きな都市はエネルギー効率に優れた居住環境です。集合住宅は冷暖房の損失が小さく、ヒートアイランドは冬の暖房を軽減していますし、交通はエネルギー効率の良い公共交通によって支えられています。

 

それでも東京は、エネルギーを浪費していると思われがちです。福島第一原発事故後の都知事選では、脱原発が主要な争点の一つとして扱われています。しかし、それと引き替えに石炭火力によって支えられた都市であり続けることは、国際都市としては不名誉なことでしょう。

 

都市では、多くのエネルギーが住居・事務所・店舗で使われています。そして、その多くは冷暖房や給湯の20~40℃程度の狭い範囲の温度需要を満たすために使われています。特に大きなエネルギーを使うのは、冬の暖房や給湯です。

 

発電所はエネルギー消費の半分ほどを電力を生産するために使っていますが、電力になるのは4割ほどで、それ以外のエネルギーは、同じような温度範囲の復水器からの廃熱や、より高温の排気による廃熱になっています。

 

福島第一原発事故の後、「原発を代替する電源」というような、狭い議論は散々行われてきました。しかし、エネルギー利用の実態を踏まえて空間的・時間的スケールを大きくしてみると、別の可能性が見えてきます。

 

人々が欲しているのは電気ではなく、冬に室温を外気よりも10℃上げることや、夏に室温を外気よりも5℃下げること、それから夏を暑さを少し和らげること、それくらいのことなのです。

 

3.都市の景観

 

三つ目は何でも良かったのですが、景観にしました。ツイッターでは海外の都市を東京化する作品がバズっていたので

 

これらの東京っぽい景観には賛否があるでしょう。しかし、例えば住宅街に貼られている政治家のポスターや立て看板。あれは全くいただけません。しばしば紫外線で劣化し、お化けのようになっていたりもします。

 

東京の景観をよくする方法には、どのようなものがあるでしょうか?

 

例えば、コンクリートむき出しの電柱。電線の地中化等によって無電柱化するというのも一つの方法ですが、電柱をペイントするだけでも改善されるはずです。

 

幹線道路の歩道の横にある低木。大抵、所々禿げてたり、ゴミが溜まっていたり、元気なお客さん(俗にいう雑草)が生えていたり、風や雨で漏れ出た土が舗装を汚していたりします。いりますか?

 

道路のアスファルトも美しくデザインすることもできそうです。欧州の古い都市にある石畳の道は美しいですが、凸凹です。アスファルトにデザインを加えれば、もっと未来っぽい道路ができるはずです。

 

おわり

やや物質的なテーマに偏ってるように思えるかも知れませんが、地方自治体らしいテーマに絞りました。

 

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