代議投票のススメ

近頃の選挙で有権者は、政党の政権公約・マニフェストを読み、政策で投票先を選ぶことを要求されています。「政策本位の選挙」と呼ばれるものです。しかし、実際には公約を読み比べたりする人はほとんどいないと思います。

 

そもそも、有権者が公約に記された政策が正しいかどうか、実現できるかどうかを判断することは難しいはずです。政策を精査することはできないので、テレビや新聞の影響を受けて投票してしまうことになります。しかし、テレビや新聞も、政策が正しいか、実現できるかどうかを判断することはできません。有権者とテレビや新聞の利害・需要が一致しているとも限りません。

 

政策を約束して選ばれた議員は、国会で熟議をして結論を導き出すことよりも、公約に記した政策を行うことを求められてしまいます。しかし、有権者は政策を十分に理解し、比較して投票してはいません。

 

本来の仕組み

実は、政策本位の選挙は、憲法に記されている仕組みとは違います。憲法には前文の一番最初に「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」と書かれています。

 

一般の国民を代表できる人を国会議員に選べば、国会に全国民の縮図ができ、そこで議論をすることで国民が議論をしたときに近い判断をするであろうという、代表制・代議制を採っているのです。これなら、選挙のときに候補者の政策を隅から隅まで読む必要はありませんし、「選挙のときだけの主権者」にもなりません。

 

それなのに、肩書きや経歴が華々しい立派な人、特別な人に投票しなければならないという、少しおかしな認識が広まってしまっています。しかも、政策で政党・候補者を選べという無茶ぶりがされています。結果、すごくおかしな仕組みになってしまっているのです。

 

民衆による政治

リンカーンの演説で有名な「人民の、人民による、人民のための政治」という言葉は、憲法の前文にも次のような表現で移植されています。

 

そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。

 

日本では1925年に普通選挙制が導入されました。収入や財産で選挙権を差別しないようにすることです。普通選挙は「Popular Election」の和訳ですが、民衆選挙と表した方が適切だと思います。憲法前文にある「国民」も「民衆」と読み替えると分かりやすくなると思います。

 

党議拘束もあるけれど

残念なことに今は、民衆の代表者らしい人を選んでも、政党に所属している議員が自由に法案への賛否を決めることはできません。ほとんどの政党が所属議員の表決に「党議拘束」をかけているからです。

 

しかし、有権者が意識的に、より民衆の代表者らしい人を選んだり、党議拘束のない政党や無所属の候補を選んでいけば、日本の政治制度を少しずつ修復することができるはずです。

 

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