日本を元気にする会

アントニオ猪木参議院議員を含む参議院議員5名を擁し、直接民主主義を謳う「日本を元気にする会」が結成記者会見を開きました。同党は百万人の党員獲得を目指し、年に何件かの国論を二分するような重要な議案について、インターネットを通じて党員による投票を行い、その投票割合に応じて所属議員が国会での表決を行うとしています。

 

ただ、直接民主主義の導入という点では、残念ながら期待外れのところもあり、ドイツなどの海賊党が掲げる液体民主主義と比べると幾分原始的な感もあります。液体民主主義(Liquid Democracy)は投票委任(Proxy Vote)や参加者の発議権を特徴とする直接民主主義の仕組みで、直接民主主義と間接民主主義の中間とも評されています。

 

私は日本海賊党にときどきお邪魔をさせて頂いており、一年余り前から液体民主主義を運用するサーバーソフトウェアの日本語化(機械翻訳レベル^^)や地方議会で液体民主主義の仕組みを応用する方法の提案などをさせて頂いています。2014年衆院選直前には、ドイツ選出の欧州議会ジュリア・レダ議員がソフトウェア開発者などを招いて開催した液体民主主義のイベントに日本海賊党のRioさんが招待され、その際にもサイトなどに微妙に関わっています。Rioさんによるレポートが掲載されているので是非ご覧下さい。

 

日本を元気にする会は、国政でインターネットを使った直接民主主義を導入するとしています。しかし、その対象は限定されるようで、ほとんどの議案(おそらく予算案も含めて)については、党の基本政策に賛同する議員が自らの判断で表決に参加するということのようです。ここは残念です。ただ、ほとんどの政党とは違って、党議拘束はかけないとしています。

 

いくつか疑問があります。まず、この直接投票に参加するためには党員にならなければいけないということで、政党の党員になることが一般的ではない日本では十分な数の参加者を集めることが、なかなか難しいであろうということです。参加者が少ないと、限られた政治思想を持つ人々や特定の業界に所属する人々によって「直接民主主義」が乗っ取られてしまうおそれがあります。

 

その点では、投票にかけられる議案が何であるか分からないことや件数の少なさが、参加動機を弱めてしまうことも考えられます。つまり、関心のある分野に関する投票ができずに、投票したい法案の表決が議員の自由意思によって行われるのであれば、党員になるメリットがないということです。党員から党費を取ると、百万人という目標は難しいのではないでしょうか。

 

逆に党費をとらないと、参加を希望する人が選挙権を持つ本人なのかを確認する必要があるので、その百万人分の名簿を管理したり、システムを運用したりするコストを考えなければなりません。尤も、所属議員5名の要件を満たしている現状では政党助成金が十分に出るので、それ以外の費用を抑えれば捻出できるはずですが。

 

党員による投票にかける件数はわずかとしていますが、何を投票にかけるかを誰が、どのように判断するのかという問題もあります。基本政策に賛成できない人の参加を見込むことはかなり難しいと考えられるので、(政治思想を持つ)政党が党内民主主義を強化するために党員を使うという構図になってしまうおそれもあります。

 

投票結果を票決に反映させる方法については、割合投票としています。総取り方式にしないことは少数派の参加動機を維持するために重要です。私が地方議会に液体民主主義を活用する方法を検討したときには、同様の割合投票か、又は予め他の会派・議員による賛否を見込んで、投票結果と議会の議決の結果(賛否の割合)が近くなるように行動する方法を考え、議員数が1人でも可能な後者を選びました。

 

企業経営者は政治家に最適か?

話が少しズレますが、松田公太代表兼幹事長と山田太郎政調会長兼幹事長代理が企業経営の経験があったということもあるのでしょう、落選しても困らない人が議員をやらなければいけないと言っていた点については触れなければなりません。職業政治家が利権の温床であるという批判のようで、一瞬ティーパーティーが頭をよぎりました。お金持ちの政治家は悪いことをしないという古びた考え方にも似ています。

 

しかし、言い方を変えれば落選しても困らない人は好き放題やってしまうということになります。これは民意を尊重する直接民主主義とは全く逆です。国会議員の選挙は私たちが代表者を選ぶ方法で、議員が国民の代表者であり続けさせるものです。有り体に言えば、再選という餌を使うことで任期中に国民を裏切って自己の経済的利益のために活動したり、怠けたりしてしまうことを防いでいるのです。そうでなければ、任期を区切って頻繁に選挙をする必要はないわけです。つまり、一度選挙で選ばれたら終身議員ですよとすれば、落選を気にせずに議員活動を出来る、それで結構という話になります。

 

私も、現状では国政について直接民主主義的な手法、液体民主主義を政党・議員が導入する試みはあって良いと思いますし、たぶんその方がより民主的な仕組みになると思います。ただ、憲法が想定している代表制は、それよりも望ましい仕組みだと思います。つまり、国民にとって真の代表者たちが、私たちの代わりに国会で熟議をして政治を行う仕組みです。

 

もちろん期待しています

おそらく基本政策に出てくる政策の大半は、私の考えとは違うと思います。経営者や実務家で構成するという考え方も、直接民主主義を掲げている点とは矛盾していると言わざるを得ません。批判をしだせばいくらでもできます。それでも、直接民主主義を掲げたことで人々からのプレッシャーを受けて、これから進化する可能性に期待をしています。

 

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