刑事司法

裁判員裁判

憲法は裁判官について、その独立性が損なわれることのないように、報酬が減額されることがないことや任期など、地位を保障する規定を置いています。これは刑事被告人の公平な裁判を受ける権利を保障するためにも大切なことです。

 

しかし、裁判員にこれらの保障は適用されてなく、有権者名簿から無作為に選ばれた国民が義務として裁判員を務めることにより、裁判体の公平性を確保するとされていました。ところが実際には「柔軟な運用」によって、裁判員になることを拒否することが容認され、裁判体の公平性は脅かされています。

 

裁判員制度は国民に不必要で過度な負担を強いり、刑事被告人の権利も侵しています。また、現在の対象事件は殺人等の重罪事件ですが、対象事件を軽微な犯罪に変えれば国民の負担が増します。民事裁判に導入することも、高度な法律知識が要求されることになるので不適当です。

 

そもそも、司法に対する国民の主権は、裁判官の任命等における内閣の関与、及び最高裁判所裁判官の国民審査を通じて行使されるべきもので、国民が裁判を行うことによって行使されるべきものではありません。

 

司法調査

近年、死刑や無期懲役などの極めて重い刑を判決された人が再審で無罪判決を受けるなど、何件かの注目される冤罪の判明がありました。残念ながら、裁判所が自ら積極的に冤罪を認めることを期待することはできません。そこで、判決確定後の事件について、判決が適当であったかを調査する常設の機関を国会の両院の下に設置する必要があると考えています。

 

公訴時効

犯罪被害者の遺族らの働きかけにより、殺人罪の公訴時効が撤廃されました。時効の意義については、時間の経過によって証拠の取得や確認が困難になって弁護が難しくなることや処罰感情が薄れること、逃亡による苦しみを考慮したものなどの諸説が紹介されています。しかし、最も大きな効用は、速やかな検挙を促すことではないでしょうか。

 

公訴時効がなければ、公訴までどれだけ時間が掛かっても、捜査機関は「捜査中」として済ませることができます。公訴時効の延長や廃止は科学捜査等の進歩による検挙を可能にしますが、一方で、社会から犯罪者を隔離することができていない状態が容認されることを意味します。不都合を回避するためには、通常の捜査機関については時間の制限をかけ、それ以後は別の捜査機関に移管する仕組みとすることが必要であると考えられます。

 

証拠機関

これまで冤罪を防止するために、いわゆる「取り調べの可視化」や「証拠の開示」が要求されてきました。しかし、取り調べ室の中だけを録画・録音しても、拘留中の被疑者が取調室の外で供述を誘導される可能性は排除できません。

 

被疑者等に対する供述の誘導や不適切な扱いを防ぐためには、取り調べの可視化ではなく、中立の機関が勾留し、取り調べに立ち会う仕組みが考えられます。また、証拠の取得と保管、公平な開示についても、中立の機関が証拠の取得から開示までを管理する仕組みがなければ、隠匿や改ざんを完全に防ぐことはできません。

 

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