しなやか財政

家計が預貯金を増やそうとするとき、収入のうち消費に使う割合を減らして、預貯金などのお金を確保します。消費が減れば、商品やサービスが売れなくなり、不景気になります。すると商品やサービスの価格下がり、デフレになります。デフレは不景気の原因ではなく、消費が不足した結果なのです。

 

さらに預貯金が増えることは、政府の借金が増える原因でもあります。

 

3.5%成長(高度経済成長の後)

日本の経済は高度経済成長が終結した1972年頃から1996年までの間、物価の変動を除く実質で年率3.5%の割合で大きくなっていました。バブル期に拡大した生産は3年間で元の水準に戻り、1995年から再び成長を始めています。ところが、消費税率が引き上げられた1997年から、年率3.5%成長の水準を下回るようになってしまったのです。

その初期にはアジア金融危機や金融機関の不良債権問題による影響もあったと考えられますが、それらの影響が何年も続くとは考えられません。労働人口の増加率が低くなった影響も考えられますが、デフレや失業も同時に生じていることから、消費・需要の不足が生じていたことは確かであると考えることができます。

 

経済対策はどうあるべきか

景気が悪いときに経済対策として公共投資を増やす方法には、予算の執行までに時間が掛かること、過剰な投資になること、消費の減少で影響を受けている業界とは違うところで需要が増えること、事業や供給力が限られるので対策の規模に限度があること等の欠点があります。

 

しかし、給付や減税で消費者の購買力を増やす方法では、それらの欠点はありません。家計の預貯金によって消費が減らないようにするシンプルで正当な方法です。視点を変えると、仮に家計が預貯金を増やす動機が老後の生活資金であれば、政府が将来の社会保障の充実を約束することと同じ意味になります。

 

そもそも政府の財政と家計や民間企業の会計は違います。財政赤字なのだから公務員の給料を減らせという意見が代表的ですが、しばしばこの点が混同されて正しい認識や議論が妨げられているように思います。そこで、行政府と景気の調整機関を分けて考えられるように、税収等によって賄われる行政府の予算と、それとは別に経済調整勘定を設けて減税や給付などの経済対策を計上する仕組みを提案したいと思います。

 

他の方法は?

産業構造や生産手段に大きな変化がない限りは、経済がそれほど成長しないのに企業の設備投資が大幅に拡大するということは期待できません。家計の預貯金が大幅に拡大したときに、それに応じて企業の設備投資が拡大するということは、そもそも想定できないことです。つまり、企業の借金の額がどんどん増えて、設備投資が増えるということも想定できません。長期の不況下では、中央銀行が何かをして設備投資が増えるとも期待し難いはずです。

 

日本は長期にわたって、輸入よりも輸出が大幅に多い状態にありました。家計の代わりに海外がある程度の消費を肩代わりしてきたのです。しかし、相手があることであり、純輸出が増えすぎれば貿易不均衡の是正を求められてしまうので、その量には限度があります。自動車会社などは現地生産を増やすなどの不均衡対策をしてきました。

 

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