地方自治制度

地方分権の幻想

地方分権や地方主権は、ほとんど政党が掲げ、テレビや新聞でも肯定的に扱われることが多いと思います。省庁が各地方に置いている出先機関を廃止したり、国の役割を外交や安全保障に限ったりするべきと言う人もいます。

 

それらはの意見は、しばしば「アメリカのように」に修飾されています。しかし、アメリカの連邦政府にも健康福祉省や住宅都市開発省のような行政機関があります。各省に属する局などの機関は、複数の州をまたがる地域ごとに地方事務所を置いています。

 

道州制を求める人たちは、九州地方や東海地方といった地方ごとの人口や経済規模をヨーロッパの国々と比べたりもします。しかし、ご存じのようにヨーロッパにはEUがあり、議会や行政機関、裁判所が置かれ、共通市場を形成するために規制政策や共通通貨を運用しています。

地方に独自の財政権限を与えるべきと主張していたりもしますが、EUではギリシャなどが債務を抱え、財政統合をしていないことで経済調整も上手くいかない状態にあります。

 

地方分権によって「閉塞感を打破する」ことができたり、国の借金が減ったりするとは考え難く、国で扱われる多くの課題は地方の持つ地域性とは無関係です。地方政府の間で競争原理が働くためには、人々が行政の善し悪しによって住む地方を選択しなければいけません。それは現実的でしょうか。地方によって法制度が違えば、税や規制の効果が弱まったり、難しくなったりすることもあります。

 

一層制の地方自治

道州制では道州と市町村、又は道州と都道府県と市町村という、二重又は三重の地方自治制度になってしまいます。もし、二重行政の解消を目的とするのであれば、道州制は答えにはなり得ません。

 

また、多くの市町村がゴミの処理や消防を近隣の市町村と共同で、一部事務組合を組織して運営しています。その一方で、都道府県はその内部をいくつかの区域に分けて、地域事務所を設置しています。

 

自動車によって生活圏域が広がり、移動時間は短くなりました。行政コストの低減を目指すとすれば、国の出先機関と単層の自治体で行政が担われるようにできるはずです。より小さな地域の意思決定は住民による評議会で行えば良く、そこに独立した行政組織は必要ありません。

 

自治体の上院

自治体の健全な運営が担保されるためには、域内の一部地区に対する不当な扱いを是正させたり、近隣自治体との関係の調整したり、条例を審査したりする機能が必要です。また、国の地方機関には議会による監視が不足しています。

 

そこで、広域レベルに行政機能を持たない独立した議会を置き、自治体や地方機関の健全な運営を図る仕組みが考えられます。行政部と議会がセットである必要はありません。

 

民主的な自治

今の地方自治制度では、都道府県と区市町村の長と議会議員がいずれも住民により選挙されています。その投票率は低く、有権者には区市町村と都道府県の権限を理解することも難しく、自治体が民主的に運営されているかは疑わしくなっています。自治体を一層にすることで、民主的に運営される可能性を高めると考えることができます。

 

また、今の自治体では首長が大きな権限を持つ、いわゆる大統領制がとられていますが、今の憲法でも議院内閣制に近い形にすることはできます。そうすることで、首長に著名人や行政経験を謳う元官僚が選ばれやすい現状を改めることができるはずです。

 

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